[喉はからからに渇いている、とローリエは思いました。
親友を心配させてはいけない。
あまりに陳腐な考えのもと、首を横に振ります。]
……痛かった、でしょ?
[細い声で、そう言って。
手を伸ばしてきた>>+45彼女の髪を撫でやりました。]
私……私のために、怪我なんて、しなくていいよ。
私の血なら、あげる。
でも、ユーリエの血をもらっちゃ、いけないと思うんだ。
[しかし、ローリエは乾きつつある血を物欲しげに凝視していました。
これだけ拒んでおきながらも、親友が傷を負ってまで――どうせすぐに治るというのに、です――流した血を惜しむ気持ちが、浮かんでいるのです。
人間としての長らくの常識と、吸血鬼達と交流した短い濃厚な常識とが、拮抗しては揺らぎます。]
ねえ、ユーリエ。
あなたは、はじめて誰かの血を吸ったとき、幸せだったかな?