[人生、最初で最後の涙だった。そのいっとき、彼はただ兄の弟であり、人であった。それももう、狂った心を前に忘却の彼方である。何故ならば彼は、それを哀しいと同情する術もないほど、同時に興奮を得ていたのだから]