――そして――[図書館を出たあとは、微かな羊の鳴き声を辿って、牧場を探すつもりでいたのだが。 羊など、もう殆ど残っておらず。 やはり難しいかと、あの少女が羊飼いの娘とは知らず目を伏せる。 場を離れようと、足の向きを変えた、その先だ。]――(あ)、[そこは、あの大雪崩の起きた、村の入口だった。 今はただ白く、うずたかい雪の壁。 一体何人が助かって、一体何人が「雪解け」のあとに出てくるのだろう。 後悔と自責が頭のなかにちらついて、そのままぼんやりと、雪山を眺めている**]