手足を失ったのが俺で良かったと、そう思った。
あちこちを巡る夢を持っているお前が俺のようにならずに済んで良かった、と。
夢が奪われずに済んだことが、嬉しかった。
[勿論、あの後どうなったか分からなかったから、そう思えたのは再会してからだけれど。
心底感じたことを言葉にしていく]
失った手足も、見ての通りこうして自在に動かせる。
初めてこの義肢を動かした時、ようやく機鋼の属で良かったと思うことが出来たよ。
以前のままなら、きっとどこかで靄を抱えたままだったろうな。
[視線を一度自分の腕へと落とす。
温もりは一切消え、与えることも得ることも出来ないそれ。
それが寂しくはあるが、一度手足を失った身からすれば、自由に動かせるだけありがたいことなのだ。
再び顔を上げ、少しだけ後ろを振り返る]