−兄とのさようなら−
[反対に自分という人間はきっとどうしようもなく性根から狂っていた。ただ血を流し死んでいくそれらが途方もなく愛しく、病弱で動けぬ兄の血潮がまだ鼓動を波打つうちに自分は彼を綺麗にしたかった。]
…っぁ、はぁっ
[だが初めてだった。犬や猫を初めて殺した時以上の快感を得たのは。そして、それ以上の絶望を得たのは。
それをウェルシュ少年は輝きのない、生きて抵抗する術のない物を殺したところでつまらないのだとただ解釈した。兄は輝いていたというのに。誰よりも、誰よりも輝いていたというのに。]