[別の、言いたいことが、できてしまった。
何よりも優先して、言わなければならないことができてしまった]
(見てわからないなら、触れればいいのに――)
[と。
眉の形、目の形、鼻の形、口の形、耳の形、頬の肉付き、歯の並び、触れてわかる違いもあるのだと。
視覚を聴覚で補うのなら、触覚で補うこともできるだろうにと。
齢を重ねてしまったせいなのか、正常と診断されてしまったせいなのか、遠慮してしまっているのだろうか?
すべての人には無理だろうけど、親しい人なら……例えば彼の目の前にいる幼馴染だとかにならできるだろうし――…それで、十分なのではないかとさえ思う。]