― 闇の中 ―[情報屋の男がいた。タクマを探すためにそんな男に血を捧げ、自ら吸血鬼になったのはごく最近の事。見返りにセルウィンの血を何度も与えた。「旦那《セルウィン》の吸血する時の顔はそそられる」そんな事をほざいていた。快楽は確かにあった。それ以上は何もない空虚。孤児だったセルウィンは、一人ぼっちだった。気にかけてくれたのは、タクマただ一人だった。タクマと沢山の野山を駆け回った。沢山笑って、沢山話して、沢山泣いた。僕はタクマがいればそれでよかったんだ――]