シャーって…そこ?
ふふ、目の付け所が面白いね。
[繰り返される謝罪には、もう一度ゆるく首を振って。>>+41]
あなたこそ、わたしの方が先に剣を抜いて切りつけたというのに、恨まずにこうして普通に接してるのはすごいと思うよ、……本当に。
[こうして普通に語り合えるのはきっと、生前そこまで彼女を憎んでいたわけではないから。ただ、一方である可能性をも危惧したから、わたしは剣を抜いた。
それは、彼女が亡きチェンバレン中佐の孫娘だから。
中佐の功績は、白狼騎士団にも十分知れ渡っている。
あの時人を呼んで、わたしたちが対峙している場面を見られたら。
わたしに反感を抱く騎士は、彼女側に付いたかもしれない。
身内の経歴、家柄に申し分ない彼女を、新しい総督の座に推挙しようと動きがあったら面倒だと思ったから。
だから、人を呼ばずに、自分ひとりで処理しようとした。
詰めが甘かったのは、…───覚悟が足りなかったから。
それがわたしが犯した最後のミス。]