――村を巡りて――[宿を出て、あの日の足取りをそのままたどる。 教会の十字架はこのさなかにあっても凛としていた。スープを飲むことは叶わなくなった、としばらくそのまま建物を見上げていた。 パン屋も同じだ。明日も来る、と言ったのに。結局のところそれは叶わなかったのだ。破ってしまった約束が、たくさんありすぎた。 ガラス窓の向こう側、片付けられて空っぽの、パンかごを見ながら苦く笑う。]