え、あんた俺のこと見えむぐっ、
[叫びかけ、また煩くしては迷惑だろうかと、咄嗟にセルフで自分の口を塞ぎつつ。
自分の姿は、エレンの目には映っていなかったはずだ。
声も届かなかったし、触れることも出来なかったのに、この人には見えるのは何故だろう?
“ある可能性”が脳裏を過ぎり、はっと目を見開いた。
もしかして、このひとも。
そちらへと一歩、二歩、駆け寄るように近づいて、
ふと視界に入ったのは、閉じられたコクーン。>>+38
見れば、蓋の中に眠っているのは、目の前の男と同じ姿のだれかだ。
三つ以上のことを考えるとぱーんとなる頼りない思考回路は、一瞬混乱をきたしかけるが、
コクーンのランプが『医療モード』になっているのが目に入れば、
諸々の疑問や状況の意味不明さは、すこーんと頭からすっ飛んで、思考は一点に帰着する。]