[やがて、怪我をした2人ーレーザー銃の男性と、スープを配っていた女性ーは付き添いの人たちと共に医務室へと向かっていった。
アイリも、顔色を変えて医務室へと向かい、ベルもどこかへ行ったようだ。
私は、暫く呆然としていた。
サシャの語る、科学技術への憎悪に、その一端を担う者としての、責任というものを意識した。
実際、人類の世界は科学技術によって広がった。
造船技術の進歩が、新大陸を発見させたように。
軍事力の進歩が、人類を月にたどり着かせたように。
炭素繊維技術の進歩が、繊維式宇宙エレベーターの開発に繋がったように。
亜空間式ワープ技術の開発が、人類を外宇宙に、他星系文明の存在する地へとたどり着かせたように。
…だが、これらの輝かしい成果の影には、闇もまた存在した。]