― 回想・05年/帝国内 科学技術庁 ―
[ 小奇麗な科学技術庁のロビーは、静まり返っていた。
見知った顔が近づいてくるのを確認すれば、
皮のソファーに座ったまま手を挙げて挨拶をする。 ]
久しぶり。工兵隊に配属されてるんだって?
[ 銀髪の知人――ヴィンセントは、心なしか痩せたように見えた。
思わずまじまじと見つめていると、向こうも同じように
こちらを神妙な面持ちで伺っている。
頭部と右目にぐるぐる巻いた包帯に視線が止まると、
心配そうに見下ろしてきた。
自分の横をポンポンと叩いてソファーに座るよう促す。 ]
そんな顔しなくても大丈夫だよ。問題ない。