[たぶんさっきまでの私だったら悲鳴をあげていたと思う。
けど震えていた私は何が起こったのか分からず、
きょとんとしているだけだった。
次第に聞こえてくる喧噪から、
どうやら相手をガルーだと断じて襲い掛かっているらしいことを知る。]
ガル―…ガル―…ガル―
[聞こえてきた言葉を反芻する。
何処かで聞いたことがある単語。
そういえば昔パンチカードを借りて読んだ。
たしか、寄生生物とそれに感染した女の子の話だ。
二人の友情と最期のギムレーに向かう決断が印象的だったっけ。]
あの話に出てくる寄生生物の種族名がガル―だったよね。
けどなんで今、小説の話をしているのです……?
[過激な行動を繰り返していると目される男の声には、
ふざけている様子は一切感じられない。
それが不思議で私は首を傾げていた。]