[本当に、いきなりだな、と思う。]
ノトカー君、ね。
初めまして。
[蹴飛ばした死骸に一人声を掛ける様子は、異様にも映る。
この異常な状況の中で、度重なるストレスによって感覚や死生観の一部を麻痺させてしまったのだろうか。
ーーーかわいそうに。
狂ってしまったのだね。
『人狼』を妄信し、皆の前で暴れてみせた彼女とは少し違う方向に。
……物言わぬ死骸に声を掛ける彼を不憫に思い、返事をする己もよっぽどだが。
そう、思えば彼の行動も、己の死骸にたいしても、不思議と冷静に……他人事のように見ることができた。]