――ふふ。その腕も、目も、脚も。
捕らえて、縛ってしまいましょう。
[眠る少女へ二指を向けて、すい、と横へ一薙ぎ。
同じ黒が現れ出て、碧眼を宿す目蓋を漆黒で覆う。
両脚もまた同様。寝台の下から溢れ出すかの如く伸びた闇色の触手が巻きつき、絡め取り、締め付けていく]
――さ、起きて? 目覚めなさい、シルキー。
連れて行ってあげる。
闇は欲望。闇は生命。闇はお前自身。
そう気づき得る世界へ。快楽と恐怖の中へ。
[わずかに意識を取り戻したか、身じろぎする少女。
微笑んで、その胸元に掌を押し当てる。
贄姫が纏う薄絹の袖口からじわりと暗黒が滴り、侵蝕を始める。程ない内に、二人の姿は黒々とした闇に呑み込まれた]