[心すら覆いつくす闇の裡に、二人の絆という確かなものが存在する。 今やその感覚だけが、キアラの意識を保つ最後の一点だった] ――すごいよ、ミリアム。[杖の一振りごとに龍の頭上を、灰色の雲が覆っていく。 出来るかどうかもわからない、ただ信じて託すしか出来なかったことを、相手はやってのけた。 治癒術を主体とするミリアムには、未知の領域の術だったろうに]