[その時、ポロリ、と涙がこぼれ落ちた。自分でも頬を伝うまで気づかなかった涙。人狼のせいでも、そうでなくても、きっと死ぬ瞬間は怖いもの。そんな瞬間を克明に覚えていて、今私の目の前で冷静に語る彼女を見るのはとても苦しくて、悲しくて。自分より、私のことを心配する彼女を見て思い出したのは、カークが目覚めた直後の姿だった。────なんて、優しい人……瞬間、パニックに陥った頭が冷静さを取り戻してくる。振り抜けた彼女に向き直り、震える手をぎゅっと握りながら話し始めた。]