どうして? どうしてそんな風に言えるの?
こんな姿になってそれでもよかったの?
わたしは、痛かったよ。……痛くて怖かった。
どこかで、……どこか、で、ヴェルがわたしのことを責めて、羨んでるんじゃないかって。
ヴェルのことはよく知ってるくせにそんなこと思ってたんだよ。
わたしが、弱かったから、そうされたがってた……。
[脳裏をよぎるのは「ゾフィが羨ましい」と、そう言ったときのヴェルだ。
その時とも今の彼は、違う。
彼が抱えた時の重みは、行先が見つからず同じところを行ったり来たりの蓄積ではなく、
ちゃんとどこかに向けて進んでいるからこそのものだと、今さらになって思い至った]