― 天上宮・門前 ―
[ 七星剣携え、不動の石像のごとく、門前に立つ玄武神の足元、ぼこりと、地が隆起する ]
ほう...力任せに霊亀の結界を越えたか。
[ 岩のような鱗を持つ蜥蜴と山椒魚を出鱈目に混ぜ合わせたような姿の妖魔から感じ取れるのは土の気。
玄武神の持つ水の気にとっては相克の敵、ではあったが ]
...足りぬな。
[ 動かぬままの玄武神を踏み潰さんと巨大な前肢を振り上げた妖魔に、静かに告げて、手にした剣を一閃する。
剣が触れたか触れないか、それほどの無造作な一撃。
それだけで、巌のような妖魔の姿はぼろぼろと土塊となって崩れゆく ]
霊亀の結界をただの壁と思ったか?
[ 清冽なる白銀の気によって編まれた結界、たとえ無理矢理にそれを越えようとも、触れただけで妖魔の力は金気に切り刻まれ遥かに減衰する ]