…………。[馬が足を止めた。カークの隣に、ぴたりと身を寄せるようにして][カーク・バッカーことカーク・フォン・バウムガルテン。バウムガルテン男爵のひとり息子で、現在は公国軍中尉。軍服に身を包んだ彼からは、もうバターの香りはしないのだろう。馬を下りてから、呼びかける]先輩……いえ、バウムガルテン中尉。右脚、どうかされたんですか?[辺りはだいぶ明るくなっていたけれど。カークの右脚だけが、靄に包まれていて見えなかった**]