[どんな気持ちか聞かれた時も何も言えなかった。
機関長へ無線飛ばせるかに意識向けてたし
怖くてそこまで考える余裕がなかった。
……そう誤魔化すのも有りなんだけどさ。
正直に言うと、ショックだったんだ。
餌にされるからとか、騙されていたからとか
そういうことじゃなくて
仲間の事を知ってるつもりだっただけで
全然知れてなかったんだって。
ゲオルグも、付き合いは長い方だったから。
だからこの状況でも助けを呼ぼうと思えなかった。
それで助けに来てくれたら、その人にまで被害が広がるかもしれないでしょ?
それでも、機関長と約束してたから
通信は送りたくて、タップ音だけは届けた。
その後は……抵抗も、何もしなかった。
やっても無駄だと思ったし
それで時間をかけさせて、他の誰かが来てしまったら大変だから。
振り上げられる爪から目を逸らして
そのまま……>>3:378*]