[些か賑やかになる声に背を向けるようにして、
女はしばし姿を消す。
古馴染みの彼が死してしまい、
胸に残るしこりのようなものは、もはや掻き消えた。
あとはただ、ただ―――…この騒動の顛末を見届けるだけだ。
皆の手を汚さずすむようにと、無理な頼みを聞いてくれたシモン。
咳き込み、命の灯火が今にも消え入りそうなレジーナ。
肉親を唐突に失ったオットーや、
何かを憂うような顔をしたヴァルターに。
それから助け合うように寄り添う恋人たち。
そしてこれからは一人、歩いていかなければならないリーザが迎える結末を、薄氷の瞳に刻み付ける]