[微睡みを終わらせたのは、髪に触れる優しい手のひらだった。>>19
不思議と乱れていなかった軍服に手をかけられ、引き裂かれた。
翻る金赤に、より赤みを増した瞳は一心に向けられて]
フェリクス、さん
[伸し掛かるように、目の前にある身体。
伸ばした手は、届く前に拳へと変わり、耳元で赤く染まったシーツの上に力なく落ちた]
ひ、ぁあ …ん
[おぼろげな意識の中でも押えた衝動。
声は欲望のままに浅ましく響き。
噛み締めた唇。そこに流れる新たな赤。
やがて齎される再度の手のひら。
これが最後と、これが、最期と――強く目を閉じて自らに刻み込む]