[“ご愁傷様”の応えには、] お互い様ですね[疲れたような笑みを浮かべ、うっすら消えかけた左手で、首元をさする。ピリピリと痛むような感覚は、拭っても取れることはなかった。] ヨアヒムさんも、その……ご覧になったんですよね?[白い獣を、と付け加えて、遠慮がちに問いかける。 問いかけてから気づく。 (あれ、そういえばヨアヒムさんの傷は胸元にあったんだっけ) 食堂までの短い道中、おぼろげな記憶をたどる。**]