[そして、彼の過去を初めて聞いた。
「……故郷が今も存在しているのなら良いじゃないか」といった彼の言葉を思い出した。>>3:124
まさかもう、無いとは知らなかった。
連邦から除籍されていたこと、多くの住人が……星とその命を伴にしたこと。
きっと気付いていないだろうが、小刻みに震える手が、彼の内情を表していて。
その手をぎゅっと握りしめる。
何もかけられる言葉は持っていなかった。
どんな言葉を操ったとしても、彼の無慈悲な運命を、受けた哀しみを打破する言葉は存在しない。
だから、悲しみで心も体も冷たく冷えて凍らないように。
分けてもらった熱を少し返そうか。
独りじゃないよ。
ただそれだけが、伝わってくれればいいと信じて。]