― Nルーム ―
[ひどく懐かしい夢を見ていた気がする。
大きな手で頭を撫でてもらえば嬉しくて。教えてもらった料理を作ることができれば、その人も嬉しそうに笑う。
灰色掛かった厨房、原風景。
他の大人達とは違う、優しい声で名前を呼んでもらうと、安心する。でも最後にその声で呼ばれたときは、少し苦しそうな、何かを耐えるような―]
トールと…カーク?
[名前を呼ばれた気がした。
ふと意識が浮上して、気づけばトールとカークが立っていて。何故かその前には...がいる。一瞬混乱したが、血で汚れた自分を見て、ああ、と思い出した。
そうだ、シメオンと医務室を出て、そして――。シメオンと『ガルー』と名乗ったあの人(人?達?)はどうなったのだろう。
(私、死んだんだ。)
特に悲しいとか、怒りだとか、そういった感情は浮かんでこず。最後痛みもなかったのはありがたかったかな、うん。と、穏やかな気持ちになる。自分をこうしてみるのは変な感じだけれど。
泣きはらした後の目をしたトールに、私のせいだったらごめんね、ありがとう、と思いつつ。
ハーモニカを取り出したトール>>46にぱあっと顔を輝かせる。トールは自分の言葉を覚えてい