……逆に訊いてしまうけど、わたしにどうしてほしかったの? そういうのがあったとして、わたしがそうすればヴェルの気はおさまるのかな……。 って、なんとなく思っただけなんだけどね。[締めの言葉だけからりと明るい調子で言いながら立ち上がって背を向けた。これから背中の方の処置に取り掛かるからである。それが終われば今の自分にできることも終わりだ。顔は見えないが首の後ろに埋め込まれている黒い煌めきは見える。記憶の中と変わらないその煌めきに僅かに目を細めた*]