[クレメンスの言葉に乗って、大公――長兄が命を落とす原因となった人物――を暗殺した。
大公その他もろもろの暗殺の主犯という証拠を抱え、いつか己が自自首する時には、クレメンスを――次兄たちが命を落とす原因となったタヌキを――巻き添えにする。
そして、帝国と公国の戦争が勃発し、互いに互いを壊しあう。
……もう、その時点でほぼ兄たちの復讐は成っていたから。
己の心に潜んでいた、その望みに気付く必要がなかった。
ただ、シュヴァルベの再建だけはしたかった。
あそこは、己の人生の大半を過ごした、幸せな世界だったから。
だから、それに執着して――執着しすぎて、カサンドラと言葉を交わすまで、己のもうひとつの願いに気付けなかった]