―回想/6日目:Nルーム―
イカって……ふふっ、
もう少し例えが無かったの?
そんなに顔を不安そうにしたら
折角の"いけめん"が台無しよ。
[そう言って笑うのは、心から心配してくれているのをヒシヒシと感じるから。
痛い、苦しい、なんて言ったら、その顔が一層悲痛に歪むのが想像できるから。
だから笑う。
そりゃ痛くない訳じゃないけれど、それよりも貴方の痛い顔の方が100倍痛いのよって。
それが余裕に見えているとは知らず。>>+16
手に伝わる温かい熱。
その手が先程まで自分の首に掛かっていたのだとしても。
怖さなどは微塵も感じない。
それはいつもの、花を選び、頭を撫でてくれる、彼の手であったから。
温かい、優しい手だと伝えても、きっと彼は信じない。
だから……私が知ってるだけでいい。
そんなことを思いながら、言葉にはすることなく、目を細め、只々その熱を享受していた。]