― 回想:シルとの出会い ―
[あれはどれぐらい前だろう。
たしか、私が第二エリアの図書館を初めて訪ねた時の筈。]
わあ〜!こんなに紙の本が!
[私は図書館内の一画で思わず感嘆の声を挙げていた。
今では電子書籍が圧倒的シェアを誇る上に、
紙媒体を好む人がよく口にしていたという電子書籍の欠点
本の重みや頁を捲る動作も体感ホログラムによって
補えるようなってから紙媒体書籍は絶滅危惧種だった。
加えて、私の星では三次元式穿孔による
金属パンチカード>>0:328が主流だったから、
紙自体を見ることが稀だった。
ここシルバーメリー号では地球発の紙媒体書籍という文化紹介と
保護を兼ねて図書館の一角に紙媒体を集めているらしい]
紙だと酸素に触れているだけて酸化していくし、
柔らかいから破損しやすいよね。
保存には向かなそうなのに、
どうして紙媒体に保存しようと昔の人は思ったのだろう
[口元に人差し指を当ててそんな疑問を口にしている時に、
それを聞いて笑いながら話しかけてきたのがシルだった。]