[彼はどこか生を諦めているように見えたから、
生きているという希望を持てばその顔に少しは生気が戻るかも、
そしたら共に死んでいなかった喜びを分かち合おう
――そう考えていた私の目論見は
彼の変わらぬ口調>>+6の前に瓦解した。
それどころか、そう口にした彼の表情は一瞬ひどく悲しそうで。>>+7
誰だって死ぬのは怖いし、生きていられることは嬉しいこと
――そんな自分の尺度を絶対だと信じていた私には、
彼の反応の乏しさは衝撃的だった。]
(なんで、残念がっているのです……?)
[そう口にしようとしたけど、唇が震えるだけで声が出なかった。
今までずっと誰かの顔色を窺って生きてきた。
だから彼の表情の変化は見逃さなかったし、
喜びを照れ隠すのならまだしも、
生きていることの悲しみを隠す彼が分からなくて。]