— 暗い部屋>>15>>16 —
調子はどうだ?仔猫ちゃん
[音なく舞い降りた梟は一撃で獲物を押えつける。
全てを見ていたが、敢えて尋ね。這いつくばる黒猫の首筋へ細く長い指をかけた]
何度か味見はさせて貰っていたのだったかな…
[吐息交じりに囁き、間、髪を入れず牙を埋め込む。
訓練と称して色々仕込まれた仔猫の血は、躾の良い仔吸血鬼に特有の洗練されて雑味がない淡泊。
舌触りに棘を残す深みは、従順に振る舞いながら、その腹に凝る自由への願望。それらを含めて、紅榴候の選ぶ「好み」のまま。
親に捨てられ100年巣立ちを待つ蛇の養い子へ、あやすように喉の下を擽り血を啜った]