[それだけだ。
謝ることはどうしてもはばかられた。なぜならとっくに割り切っていたつもりだったからだ。
どれほどの血が流れようと。
試練を乗り越えたかったのだ、共に]
別に返さなくてもいいから、……、
[そのまま突き放すような言葉をかけられたらよかったものを、
沈黙の合間に相手の言葉を入り込ませるのを許してしまった。
和らいだ表情で紡がれる言葉>>54を聞きながら、垣間見えた彼女たちの過去と今について思った。
過去に傍にいた二人と、今行動を共にする二人の間には、
何らかの隔たりがある。直感的に思ったのはそれだけだ。
だが、何があったのか訊くことはしなかった。
どう気を揉んでみたところで、戦う前に思って、言わなかったことと今のそれは変わりなかったから]