ーキアラがおぼえていたこと:まるさんー
[ 覚えていた風景、といった方が正しいかもしれない ]
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[お屋敷には人が大勢いた。毎日毎日ひっきりなしに。キアラはその時どうしてたかということは、覚えてもいられなかった記憶の隅の隅。
年のあまり変わらぬ徴収兵と会話は交わさなかった。
ただ、「きれいな格好で出入りしているいいな」と思うだけだった。
お屋敷には特に軍服がよく出入りしていたから。キアラはそれを「綺麗な服」と認識していたのかもしれない。ただただ一瞬、その綺麗な服のこと目があって、ぱちりとまだたきしたことだけは、記憶の浅いところにある。]
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[これもキアラの知り得ぬところ。その屋敷の女主人の元には白いものから黒いものまで様々な情報が集まったという**]