[つぷりと牙の先端を押し当て、柔肌を破り。染み出た甘露を舐《ねぶ》る。嗜欲に任せて貪る真似はせぬのは、得難き稀酒と心得ているからで] ――あれはまだ未完の器、[舐啜の合間に陶然と語るは、最新の血子にして最愛の隷《しもべ》 がこと] 他の者なら数年で音を上げて、 真から心酔するようになるか、狂うかするものを。 人として生きた歳月と同じ、29の年を過ぎても未だに耐えて、 心の裡に聖域を抱えて踏み入らせぬ。