[話は弾んだ。久し振りにじっくりと話が出来て嬉しかった。
傷の治療もある程度済み、Nルームを出る前。
彼女の手を掴み、ふと顔を覗き込む。]
なあ、カサンドラ。
ついさっき、「どうして俺らが生き残ってしまったのか」って言ったよな?
それさ……俺らの様に境遇は違えども、同じ思いをした者が導かれ
こうして巡り合う為じゃないのかって思ったんだ。
人は歴史に学ぶ。
同じ悲劇を繰り返させない為。
悲しみを共有し、それを半分にする為。
[悲しみを消せるなんて理想論は持ち合わせていない。
それに人は感情の生物だから。
そう言いながらも、実際はこれから宇宙への旅路に出るのだが。
別々の環境で育った似たような境遇の二人が偶然出会い、
同じ道を選ぶ。
隣に居る彼女の幸せそうな顔を見れば、これから取る行動、
選択肢を選んだのは間違いでないだろう、と信じたい。**]