[声もかけられずに、カスパルの墓の前に佇む彼女の背を見つめていた。 やがて、雨が降ってきた] 風邪をひく。中へ入ろう? カスパルだって、君が風邪引くのを喜んでは…[言葉は途中で終わる。 あ、殴られるな、と思って、甘んじて殴られた。 それで気が済むならと。それが彼女にとって必要なことならと。 でも――、ある一言が胸に突き刺さって、彼女を追いかけられなかった]