― 処刑台へ向かう道のり ―
[目隠しをされ、手枷についた鎖を引かれ、処刑台へと歩く。
絞首刑になるのか、斬首刑になるのか。それとも、鋸挽きや、磔にして火炙りなど、苦痛を長引かせる種類の処刑方法になるか。それさえも知らされないままに]
――ああ……ようやく、死ねる。
[口にはしないが、そんな思いがあった。これで、あの夢と余計な事を考える日々から解放されるのだ、と]
――兄貴たちは、怒るだろうけれど……
[親子ほどではないにしても、年の離れた弟を。兄たちは実の子のように可愛がってくれた。
母の記憶は、自分を庇って死んだ時の光景しか残っていない。父には厳しく様々な技を仕込まれるばかりで、可愛がられた記憶はなく。
幼い頃の自分を可愛がってくれたのは、3人の兄たちだけだった。
血腥い世界から遠ざけようとした弟が、その世界に足を踏み入れた末に命を落とす事を、哀しみ怒るだろう――と。そう思ったところで]
――ああ、そうか。
[先に逝った兄たちの事を思い返して。ようやく、自分が軽々とクレメンスに乗せられた理由がわかった]