[だが、愛していたのかといわれれば自信はとたんになくなった。
愛の詩も謳うが、将来を誓い合った仲になれるか、といわれれば、アランにとってはノーであった。
愛しているのには違いはないが、だがそれは特別であったか? といわれれば困るのである。
この見解の相違で何度もケンカもした]
[結局は怖かっただけである。
たった一人を何より選んでしまったら、自分は共に戦う兄を見捨ててしまうのではないか? と。
兄は、騎士だから。愛するものを守るために剣を手に取るのは必然。
だが、我が身を守ることに秀でる、歪な何かはどうするのだろう。
関係を進めることで、変わってしまうことが怖かった]