【見】 【墓】 情報屋 アリスバック

[それから時が流れ、父が息を引き取った時。
その穏やかな死に顔を見て。

自分は、父に死んでほしくないあまり、
身体の部分だけでも求めていたんだなあ、と遅まきながら自覚した。
心の部分をないがしろにして。

しかし、結局そうはならなかった。
父は心のままに生き、死んだのだ。
だからこれでよかったのだと、ようやく、納得することができたのだ。

とはいえ、己がもし父のように選択を迫られたら迷わず同じようにしよう、とは思わなかった。
一度思想に抵抗してしまった者として。
いつか来るかもしれないその時に向けて精一杯生きようと思い、
そうして、本当に色々あったわけだが――――今も、生きている*]