[ひらり、と薄緑の翅を持つ蝶が視界を過った。風を受け羽ばたくそれは、桜色の鱗粉を放ちながら周囲を巡る。鱗粉が身体に振りかかると、徐々に痛みが緩和していくのを感じた]これは……さっきの魔の気配に似ているな。[風からは桜香も漂ってくる。ただの風とは思えず、蝶を放った魔が何か術を施したのだろうと推測した。どうやらこちらを癒してくれるようであるため、追い払うことなくそのままにしておく*]