― コールドスリープルームN ―
[正直、もう限界だった。
底の見えない恐怖が私の心臓を締めつけ、
指先と唇がぴりぴりと痺れていくかのような感覚。
そんな感覚に襲われて眩暈を覚える。
元々争っていた二人は部屋を出ていったけど、
追いかける気力なんてこれっぽちも沸かなくて。
これ以上分からないことが増えたら、
たぶん私は不安に押し潰されるか、発狂する。
だから、私はこの感情を共有できる誰かを求めて、
そして『私』が入っているコクーンが本当に医療モード
だったのかを確かめるためにコールドスリープルームNに戻った。
コールドスリープルームには誰か居ただろうか。
居たのなら、
涙を滲ませながら嗚咽するように不安を吐露するだろう。
居なかったのなら、
私はコクーンで眠る『私』の前で膝を抱えて項垂れているだろう。]