[右腕を動かして逃れようとしたが肩が外れそうな痛みを感じるばかりであった。
おまけに相手に悪態をつこうにも視界の内に姿が見えない]
ぐっ――――… はな、しなさい、って……っ、
[もがくような動きはしばらく立てばおさまっていった。
もともと徒手空拳についての技術は皆無なのだ。
それでも最初の問いには沈黙を保ったままだった。>>*11
顔は自由に動かすに支障はなかったから急くように辺りを見回して、
そうして、あちらの戦いも決着がついていることを知った。
ぼろぼろっぷりは双方一緒、と見えたが、
五体満足なのは片方だけだ。すなわち左腕のなくなっていたヴェルはそうではない]