…………だめ、
[手を取られた。>>+14
そのことに気付いて弱々しい声をあげる。
この手が――殺した。
この手でひとつの命を――同じ村の者の、ニコラスの友の命を奪った。
それをニコラスは「業を絶った」と表現したけれど、
あの時ヨアヒムに向けた感情はそんなきれいなものではなかったと、
他ならぬエルナ自身がよく知っている。
たとえ体の汚れを洗い落とせたとしても魂にはそれがこびりついたままなのではないか?
けれども、その思いを裏切るみたいに、
縋るように手を握り返して、粛々と謝罪の言葉を聞いていた>>+15]