[意識が戻った今、さすがに短剣は没収されるかとも思ったが、結局提出を命じられる事はなかった。
それは、シュテルンが言い置いていた事もあるだろうが――
最大の理由は、自身もよくわかっていた]
今のわたくしに、貴方がたに斬りかかる力など、ありませんものね。
[寝台に体を起こすのがやっとで、長く会話することも困難な状態。
近々捕虜交換の運びになると聞かされてはいたが、海精軍に戻った所で、戦線に復帰できるとは思えなかった]
いえ、それどころか――
[何より自分の体を知る精霊師に思う所はあったが、それを口に出すことはなかった]