[私に終焉を齎した爪を振り下ろし、私の最期を見届けた、唯一の人。
頭では甘えだと分かっているのです。
あの状況下、タイガさんを殺さないと先生も、ダーフィトも死んでいたことはほぼ確実だったでしょう。
でも、お父さんが最期に人としての意識を取り戻したから。
タイガさんもそうなってくれるのでは、と淡い期待を抱いていたのです。
結果、彼が起き上がってくることは、なかったのですが――。]
ごめんなさい、少し……一人に……。
[アイリの慰めの声が聞こえてきます。
でも今の私は、例えアイリが相手でも、話すことが辛かったのです。
顔を見られないよう、逃げるよう、その場を去ってしまい、彼女の様子がどこかおかしかったことにも、気付けなかったのです――。*]