[ヨアヒムの形を成したそれが、こちらに手を伸ばす>>+14。
ああ、良かったと胸をなで下ろしたのも、束の間のこと。
その手は、腕は、体は、空間に溶け込んでしまいそうなほどに透けていて。
――うまく、つかめない。
ああ、あの幼い日に腕を伸ばしたときは、どうだったっけ。
掴めたのか、滑ったのか、共に――落ちたのか。
『彼らがエルナを殺めていたとしたら、あなたは同じことが言えますか。』
不意に、シスターの言葉が蘇る>>+10。
そのときに答えた言葉は、この姿のヨアヒムを見ても変わらない。――否、この姿を見たからこそ、強く想う]