[それから一瞬の間。
迷ったようなそれに、不思議そうな顔をしてそして]
え……?
[驚いたように声をあげてしまった。
悪くない死に方だと、それは女の心境とは対極にあるもので、すぐには理解できなかったけれど。
いや、そのことを、女は知っていた。
死ぬ前―――意識の途切れる前に届いた言葉。感謝の、言葉。
彼の言うことを、全て理解することはできない。
長命種、そんな言葉が頭を過った。それすら知ることのなかった相手と自身の間では、相手の心境を推し量ることなどできない。
けれど。彼も自身と同じだったのだなと思った。
他人に無関心で生きてきた。他人に深く関わらなければ、それで良いのだと思っていた。
けれど思い出した。誰かのために、生きるということを。
誰かを想う、と、いうことを。]