[迷子のように開いた目を彷徨わせ幾度も瞬くけれども。虚ろ目は何を映すことなく、ただ――闇。やみ。…闇。仮初の体を成しても、青年の意識は体には留まらずに虚空を彷徨うばかり。] 「こっちだ」[それでも、声>>+8が聞こえればそちらへと手を伸ばして――伸ばした手は、今度こそ掴むことが出来たかどうか。その時に…識る。自分の手が今にも溶けてしまいそうなほど、透けていること。]