[病気にさせない程度に清められた――処刑前に病死などはさせたくないらしい――固いだけの寝台に座り、壁にもたれ掛かる。
目を閉じれば、思い出すのは平穏な頃のシュヴァルベと、じわじわと剣呑な雰囲気になっていく過程のシュヴァルベ、そして――戦で破壊し尽くされたシュヴァルベの景色。
皇帝亡き後だんだん緊迫していくシュヴァルベを、みていたくなかった。
だから、平穏な頃のシュヴァルベを作り直すという言葉に唆され、クレメンスに手を貸してしまった。
あのとき。
ほんとうは、戦争を回避して平穏を取り戻すためにこそ、尽力すべきだったのだと――考える時間だけは無駄にあるいまなら、よくわかる。
生徒たちを教え導くための仕事をしていたというのに。
己は、なんと浅はかだったのだろう]